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【子育ての心理学】子どもを叱るよりも効果的な方法が見つかった件
こんにちは。おぱびにあです。「子育て」って大変ですよね。私はまだ独身なのですが、身の回りの親御さん(ひいてはうちの両親)を見ても痛いほどわかります。
特に子供がいけないことをやっていたとき、それをどうやめさせるかというのはかなり難しい問題ですよね。
私も小学校の頃にゲームに明け暮れ、親に叱られましたが、夜布団の中でずっとこっそりゲームをやっていました(笑)
なにかを禁止させるというのは、大人でも難しいものなのに、子供に禁止させるなんて至難の業に違いありません。
そんな子育てを頑張っていらっしゃるみなさんに朗報です。今回は子育ての心理学のお話をしたいと思います。
子育てに役立つ心理学というのは意外と多く存在します。そんな子育ての心理学の中でも今回は「子育てで叱るよりも効果的な方法が見つかっている」というお話をしたいと思います。
子育ての心理学 問題点:人から強制されたことは続かない
みなさんは子供のときに「宿題をやりなさい!」と叱られたことがありますでしょうか。私はあります。
その時によく出てくる言葉としては「今やろうと思ったのに・・・」とか「お母さんに言われてやる気がなくなった」とかでした。
このように人は、外部からの圧力(他人から無理やりやらされること)は続かない・途中で投げ出すという性質を持っています。
私が学生時代に夜布団の中でずっとこっそりゲームをやっていたこともこれに通じます。人から叱られるとその人の前ではそのことをやらなくなります。実際私もゲームを制限されていましたが、親の前で堂々と制限を破ってゲームをやってはいませんでした。
心理学の実験を一つ紹介しましょう。ジョナサン・フリードマンという人の実験です。この実験を見ると「子育てでうまく禁止をさせる」ことがいかに難しいかがわかります。

~実験内容~
小学2年生~4年生22人を対象にした実験です。ある魅力的なおもちゃに触ってはいけないと言われた子供たちが、六週間後もそのおもちゃに触らずにいられるかという実験です。子育てをしている方ならいかにこれが難しいかわかりますよね。
フリードマンはまず、子供たちに「そのおもちゃで遊んでいるところを見つけたらひどく怒るぞ」と子供たちを脅しました。
その後、フリードマンは子供たちから数分間離れましたが、22人中21人はそのおもちゃでは遊びませんでした。
ここからが本番。六週間が経った後、フリードマンは子供たちが通う小学校に若い女性を派遣しました。
そこで、実験内容には一切触れずに子供たちを5種類のおもちゃがある部屋に連れていきました。すると、77%もの子供が禁止されていたはずのおもちゃで遊び始めたのです。
~参考図書~
六週間前には絶大な効果を発していた強い脅しでした。しかし六週間が経つと子供は、お仕置きが与えられない状況ではその脅しの効果は全く気にしなくなってしまったのです。
この心理学実験を見ると、子育てでは脅しが全く意味のないことだとわかりますね。
子供は「このおもちゃで遊ぶのはいけないことだ」ということを学んだのではなく、「フリードマンの前で、このおもちゃで遊ぶことは賢くない選択だ」ということを学んだに過ぎないのです。
私が布団の中でゲームに明け暮れていた話に置き換えても同じことが言えます。私は「母親の前でゲームをすることは賢くない」と学び、布団の中でゲームをしてしまったのです。
ここから、子育てで「宿題やりなさい!」と叱るのが意味のないことだと分かりますね。子供は「あなたのいないところでは宿題をやらなくてもいい」と学びます。すると、どんどん宿題を自発的にやらない子に育っていくのです。
子育ての心理学 解決策:優しく諭すだけ
ここまでみてくださった皆さんの大半は、「子育てではそんなこと常識だ!」とか、「そうは言ってもどうすればいいかわからない」という考えをお持ちだと思います。
「子育てで子供が言うことを聞かない」というものの解決策は、フリードマンが先ほどの心理学実験で明らかにしています。
その解決策とは、自分で自分で決めたという感覚を持つことです。
つまりどういうことなのか。それではフリードマンの心理学実験の続きを見てみましょう。

~さっきの心理学実験の続き~
フリードマンは次に別の22人の男の子を集めました。そこで少しだけ、子供に対する禁止方法を変えました。
それは、「このおもちゃで遊ぶのはいけないことだよ。」という理由を添えて優しく言うだけです。
その後フリードマンが数分間離れたときに、そのおもちゃで遊んだ子供は1人だけでした。
この心理学実験の大きなちがいはここから。
六週間経ったとき、フリードマンがそばにいないという条件でまた子供を集め、五種類のおもちゃがある部屋で遊ばせました。
するとなんと、ほかの四種類のおもちゃは魅力的でない安物のおもちゃだったにもかかわらず、禁止されたおもちゃで遊んだ子は33%に過ぎませんでした。
~参考図書~
なんと、強く叱らずに優しく諭しただけで、禁止されたおもちゃで遊ぶ子供は半分になってしまったのです。
なぜ子供は禁止されたおもちゃで遊ばなくなったのでしょうか。これがわかれば子育てに応用できそうですね!
子育ての心理学 理由:「自分で理由を見つけた」から
なぜ子供は禁止されたおもちゃで遊ばなくなったのか。
それは、「自分で理由を見つけた(作り出した)」からです。
2番目の実験では子供たちは「優しく諭され」ました。ここには、約束を破ったら叱られるという罰則はありません。
すると子供は「おもちゃで遊ばないという選択をした理由」を自分自身で引き受けることになるのです。
つまりこういうこと↓
叱られるか? | 遊ぶと叱られる | 遊んでも叱られない |
なぜ遊ばない? | 叱られるから(外部の圧力) | ???(自分で理由を作る) →自分がそうしたくなかったからだと考える |
フリードマンがいないと? | 遊んでいい(叱られないから) | ???(自分の理由次第) |
人は新たに何かをするとき、理由を必要とします。
後者の子供は理由を与えてもらえませんでした。すると、「自分が遊びたくないから、遊ばないんだ」という理由をつけるようになります。
「自分が遊びたくないから」という理由を手に入れた子供は、それを信じるようになります。だからしばらく時間が経ってもおもちゃで遊ばなくなるのです。
「そんな子供だましな」と思う人もいるかもしれませんが。これは大人でもよくありますよ。
例えば恋人に振られたとします。
自分は好きだったのに恋人ではない。という矛盾を解消するための理由が必要になります。
すると「よく見るとあいつブスだったな」とか「あんまり優しい人じゃなかった」とか理由を適当につけて自分を納得させるのです。
これと原理は同じ。子育てで、子供に何かを禁止させるなら、やらない理由を子供に考えさせる余地を残してあげないといけません。
子育ての心理学 まとめ
子育てにおいて大切なことは、「自分で理由を考える余地を与えてあげること」でした。
この余地をどの程度残すかは、お子さんを見て慎重に判断することが必要です。ここは皆さんの子育てスキルの出番です。

ある子には「おもちゃで遊んじゃだめだよ」というだけでいいかもしれません。
また、ある子には「おもちゃで遊んだら、お母さんがっかりだな」という風に余地を狭くしてあげる必要があるかもしれません。
もしかしたら「おもちゃで遊んだら、お母さんは叱らなきゃいけないかもしれないね」くらい言ってあげなきゃいけない子もいるかもしれません。
ここが子育ての難しいところです。皆さんのお子さんはどのどの程度の余地が必要かは、皆さんの子育てスキルにお任せするとします。
そのうえで、ぜひ今回の子育ての心理学を活用していただければと思います。
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